成寿一覧表

成寿 第40号 ■特集 〈開山忌〉
開山忌 並 育英会報恩供養 第22回育英会辞令交付式
法要・式典・ご挨拶・メッセージ

善光寺行事報告⇒


  開山楳庵白純大和尚の三十三回忌法要並びに「横浜善光寺留学僧育英会」の第二十四回辞令交付式が平成二十三年二月十一日午後二時から執り行われました。 釈迦殿には関係のこ寺院様、檀信徒総代、親類縁者をはじめゆかりの方々が集い、ご開山のこ遺徳を偲ぶと共に、先代の大圓武志大和尚が心血を注いだ育英事業の継続発展を喜びました。 育英会の平成二十三年度採用者は、 ポーランドのアダム・ミソキュビナ大学大学院日本学科修士課程のウカシュ法純シュプナル氏(二十九歳、男性)、 ドイツのハイデルベルグ大学日本学部のエッカーター・トビアス氏(二十六歳、男性)、 中国の中国人民大学哲学科博士課程の史経鵬氏(二十六歳、男性)、 日本の樋口星覚氏(二十九歳、男性)の四人に決まり、理事長の黒田博志住職から辞令と育英金、記念品が授与されました。 開山楳庵白純大和尚の三十三回忌は、本寺光真寺のご住職、黒田俊雄老師の導師により厳修されました。 引き続き育英生の辞令交付式が行われ、安藤嘉則理事が「優秀な方が応募され、選考は例年になく困難だったが理事長の英断で四人を採用した」と選定経過を報告されました。 育英生は、ウカシュ法純シュプナル氏が駒沢大学博士課程へ。 エッカーター・トビアス氏は京都の黄漿山萬福寺で修行。 史経鵬氏は武蔵野大学の交流協定留学生として留学。 樋口星覚氏は米国のニューヨーク禅センターで修行されます。 式典終了後、黒田俊雄老師は「先代の大圓武志大和尚が心血を注いだ育英事業の志を博志住職が引き継ぎ、今年は四人もの育英生に辞令を交付することは仏道興隆のために尊いこととお祝いし、感謝を申し上げる。 泉下で武志大和尚も喜んでいると思う」とご挨拶されました。 博志住職は閨昨年十一月に先代の七回忌と私の晋山式を無事勤めることができた」と感謝の言葉を述べ、「開山様が亡くなったのは私が三歳の時で、葬儀の時、中耳炎で大泣きしたことしか覚えていない。 大雪だったと先代に聞いている。先代が亡くなった時も雪が降った。 今日も大雪に見舞われ、何か不思議なご縁を感じる」と感慨深く振り返りました。 また、育英会について「初代理事長である先代の心を心として日々精進していきたい」と決意を新たにすると同時に、[先代に何回も言われたことは、人のために尽くせということだ。尽くして尽くして尽くし抜け、と言われたことが少しわかってきたような気がする」と述べ、師であり父である先代・武志大和尚の遺訓を胸に刻んで歩んでゆく覚悟を力強く表明しました。 ■特集 育英会辞令交付 (第23回育英生) 〈平成22年度第23回採用育英生【全2名】〉名前(よみがな)国籍/年齢/派遣先1伊藤康心(いとうこうしん)日本/36歳/タイ・ワットパクナム2トラン・クォック・フォンベトナム/28歳/日本く平成23年度第24回採用育英生【全4名】>1ウカシュ・法純・シュプナルポーランド/29歳/駒大博士課程修学2エッカーター・トビアスドイツ/26歳/京都萬福寺3史経鵬(シケイホウ)中国/26歳/武蔵野大学4樋口星覚(ヒグチセイガク)日本/29歳/ニューヨーク禅センター 懲恕(第24回育英生) 【育英会ニュース】 藤田一照老師テレビに出演 毎月第四日曜日、夕方三時からの坐禅会にてご指導を頂いていた藤田一照老師(第九期育英生)がNHKの「こころの時代」(平成二十二年七月七日放送)に登場。在家の御出身で出家されたご縁。 幼少期より感じていた不思議な感覚から坐禅との出会い。日本とアメリカで修行をされた経験などをお話されました。その中で善光寺での坐禅会の様子が具さに放映されました。 NHKの{こころの時代」の影響力は大きく藤田老師の独特の指導方法や善光寺との関係などが紹介されたことから、数多くの視聴者の 方々より問い合わせが寄せられました。現在藤田老師はアメリカ・サンフランシスコの曹洞宗国際センター所長に就任され、アメリカで大活躍。 従って老師による坐禅会の指導はしばらく休止となります。しかしながら坐禅会自体は、住職指導のもと変わらずに行っておりますので、どうぞご参加下さい。 胡建明師哲学博士号取得 平成二十二年七月九日に善光寺留学僧育英会の第十一回留学僧であった胡建明師が善光寺へ上山しました。 胡師は中国人民大学博士課程に在籍していましたが、このたび中国華厳教学の大成者圭峰宗密の研究(「宗密思想の形成と発展」)で哲学博士の学位を取得されました。 胡師は天童寺にて修行されて来日。駒澤大学・東京大学に学んで仏教学を学んだ後、東京芸術大学大学院、南京芸術学院大学院に在学され、すでに禅僧の墨跡の研究で文学博士を取得されています(『成寿」第三七号で紹介)。 胡師によると、善光寺育英会の留学僧として黒田武志老師に物心両面にわたって支えられたことに対する強い感謝の思いがあり、北京の中国人民大学での学位授与式には前回と同様、武志老師からいただいた赤いネクタイを着用して臨んだとのことです。そしてこのたびその学位記を持参して善光寺武志老師の御真前にて報告をされました。善光寺育英会もさまざまな困難を超えて再開されましたが、こうして育英会の留学僧が国際的に活躍されていることは喜ばしいことであり、ここにお知らせさせていただきます。(善光寺育英会理事安藤嘉則記) トラン・クォツク・フォン師 愛知学院大学大学院博士前期課程に在籍中の同師は平成二十三年二月、『大乗仏教における二諦思想の研究』と題した論文を提出、本育英会にも、そのコピーを持参し報告をされた。 師は現課程継続後に博士課程に進む予定。今後益々の精進を期待致します。 タイ国の僧侶来山 去る六月五日、タイ国ワットパクナム寺院より来日されていた僧侶二名が来山されました。そしてタイ国の政治的不安定な状況から、訪タイが延期されていた育英生、伊藤康心師についての話などをされ、博志方丈も自らのタイでの修行を思い出すひと時を過ごしました。 【四育英生からのお便り】 ◇現在、ワット・パクナム寺院にて修行中の第二十二回育英生の伊藤康心師からのお便りです。 【盛夏Mバンコクは、日本よりも暑くないようですが、蒸し暑い日々を過ごしております。黒田様におかれましては、相変わらずお元気でご活躍のことと存じます。 さて、この度はワット・パクナムでの修行につきまして、ひとからならぬご尽力を賜り、私事ですが、釈尊の教えを原始の形で聞いてみたいという思いを成していただき、感謝の気持ちでいっぱいでございます。 まずは、朝夕のお経の勉強ということで、日々精進していこうと思っております。 また以前、善光寺様よりワット・パクナム文庫という図書が送られたようですが、図書室に散乱しており、ひどい汚れようであります。 こちらに日本人の平田潔さんという方がおられ、その方に相談すると、雨安居が明けると、タイ語のテストがあるということで、そのテストの後、片づけるということにいたしました。 チャイ先生を始め、平田さん、となりのオーストラリア人、インド人。同安居のタイ人の世話になりながら日々是好日とばかりに楽しく修行させていただいております。 黒田様、ご家族の方々、善光寺の皆様、真野先生、関係各位の方々、皆様方のご支援とご協力のたまものと今さらながあら感謝せずにはおられません。 厚く御礼申し上げます。今後ともよろしくお願いします。まずは、お礼とご報告をかねて挨拶まで。ワット・パクナムにて



21年2月12日、善光寺釈迦殿での皆様のご挨拶を紹介いたします。

育英会復興を喜び     - 光真寺御住職 黒田俊雄老師 -

 ご指名によりお許しを願い、本日留学僧の式典ならびに開山忌の法要を心からお祝い申し上げます。開山の楳庵白純大和尚および二世中興大圓武志大和尚の法要も合わせて執り行うというお話がありまして、本日は導師を勤めさせて頂いたことを感謝しております。
 殊に先代の奥様は、寺の存続について献身的にご努力をなさっています。ご実家がお寺であるため仏事についてもお詳しいし、非常に肝が座っておりましてね。我々が見習うべきところが多々あるのではないかと、思っております。
そのおかげもありまして、博志和尚が武志和尚とほとんど変わらず、実直にお寺の運営をなさっておられることに敬意を表し、武志和尚は本当にいい弟子をお持ちになったと、心からその因縁を喜んでおるわけでございます。
 私が白純和尚から学んだことは、どんな宗派の人々でも分け隔てなく受け止め、むしろ他宗の人を大事にしたことが思い起こされます。仏教会の理事長を務められていたころに多くの宗教と出会い、その間、いささかの摩擦もあったわけですが、同じ仏教を信仰する者同士が手を取り合うべきだと力説しておりました。
 そのような白純和尚の度量の深さや、アメリカで禅の布教に尽力された兄弟、前角博雄老師のお姿にも影響を受けたのでしょう、武志和尚もまた、非常に国際感覚に優れておりました。
次代の人材を作ることが世界の宗教や平和のためになると念願して、育英会をお作りになった実行力は素晴らしかった。その偉業を継いで博志和尚が育英会を復興し、留学僧の支援に取り組むと覚悟されたことが大変うれしくもありますし、また、亡くなった武志和尚も非常に喜んでおられると思います。
 そして人材育成を図る上で何が大事かというと、やはり平和ではないでしょうか。私はいま、カンボジアに毎年一校ずつ学校を新設したり、タイのスラムの子どもたちへの募金を行うなど、東南アジアで教育を援助する活動にかかわり、現地にも足を運んでいます。カンボジアに初めて行ったときは、内戦下において文化人の多くが犠牲となっている状況でした。そんな中で心が萎縮してしまい、黒一色の色使いで蟻のような人物画しか描けない子どもたちの有り様を目の当たりにして、平和な社会の下で教育や文化がはぐくまれることの大切さを痛感しました。
 二十一世紀になって、世界平和のために、仏教徒としても自他の偏見をなくし、お互いがお互いを尊敬し合うという生き方や、誠を持って働いている人々が救われるのだという考え方を広めていかなければなりません。また私たち日本人は、いにしえより「大和(やまと)」の精神を受け継ぎ、そして、戦争を放棄した民族でもあります。皆の心の中に平和の火を灯し、世界へと発信することができるのは日本人にほかならないのであり、天から授かった民族の使命ではないかと思っています。
 ここに育英会の存在と価値があります。どうぞそんなことを一つ心にお留めいただいて、このような法要にもご参列いただければありがたいと思います。心から御礼を申し上げて、挨拶に代えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。


育英会は使命であり支柱     - 善光寺住職 黒田博志

 本日はお忙しい中、開山忌ならびに第二十二回横浜善光寺留学僧育英会辞令交付式に、ご臨席賜りまして、誠にありがとうございます。育英会は三年ぶりに再開をさせていただきましたが、光真寺の御前様には、この会の名誉顧問もお勤めいただいております。また、師匠が亡くなって開山忌は今年で五回目となり、焼香師を毎年、快くお受けいただいておりますことを、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 これまで、ご縁をいただきました育英会の皆様方、殊にご導師をお勤めくださいました安藤嘉則先生には、この育英会を再開するにあたりご尽力を賜りましたことを、厚く御礼申し上げます。
 この育英会は、先代住職、初代理事長が、この寺の十五周年を記念して設立した会で、最初は、「善光寺海外留学僧派遣育英会」という名称で始まりました。師父は若かりしころ海外で広く修行生活を送り、その時分、尊い仏縁を頂戴したことから、次代を担う若い方にもそういった経験をして、世界の仏教界へ貢献していただきたいという思いが発願であり、育英会の原点でございます。
 師父は、亡くなるまでの二十一年間休むことなく続けてまいりましたけれども、突然の遷化によって休会を余儀なくされました。あのときは途方に暮れ、本当に何をしていいかもわからない状態でした。病床を見舞った私に対して、師父はこう告げておりました。
 「博志、育英会は善光寺の使命であり、支柱である。たとえ留学僧の選定枠を一入に減らすことになろうとも、博志の代になっても続けてほしい。頼む」とー。
 師父から託された言葉を三年間しっかり胸の
中に抱き、寺の継承に全力を注ぎつつ準備を進め、本日お集まりの皆さま方や、檀信徒の皆様方の絶大なるご支援、ご教導のおかげで、育英会も無事に再開することができました。念願叶い二十二回目は、新たに、お二人の立派なお方に留学僧としてご縁を頂戴しましたことを、最高にうれしく思っております。
 私はまだまだ若輩でございます。とにかく精一杯、精進してまいりたいと思っておりますし、この育英会が師父への報恩となり、少しでも安心して喜んでいただければと願う次第です。今後とも皆様方にご指導、ご教導いただきますことを深くお願い申し上げまして、御礼の挨拶とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。


当日寄せられたお礼状をここに抜粋して掲載させて頂きます。

温かく心のこもった文面の数々


第一回留学生 田中智誠様
 貴山開山忌並びに第二十二回留学僧の辞令交付式のご案内に接し、誠に慶ばしく法幸至極に存じ上げます。
 仏道の国際交流へ向けられた黒田武志老師の願行を絶やすことなく継続再開されることは留学僧の一人として大変うれしく存じます。貴会の益々のご発展を念じます。
 小禰儀、黄漿山第五代高泉禅師語録全集の編纂に取り組んで早や十年となり、ようやく本二〇〇九年度中で刊行の予定です。
 右、略儀乍ら祝詞にかえ近況報告まで。


第二回留学生 河内義宣様
 留学僧による報恩供養すばらしい企画をしていただき恭なく存じます。
 本来なら当然御焼香させていただかねばなりませんが所用にて失礼をさせていただきます。
また何か追悼の言葉とかいうことですが、それも多くの方達が述べられておりますので、私の近況として寺報別便にてお送りさせていただきます。             合掌


第三回留学生 磯村啓子様
 御手紙頂戴致しました。
 安藤様のご発展、誠に良きことと存じ上げます。しかし乍ら当日は仕事(学校)が入っておりましてどうしても出席できません。誠に申し訳ございません。
 先代方丈様には大変良くして頂き大変感謝致しております。この度三世方丈様が育英会の再開を決意されましたことを大変嬉しく存じます。先代様の御意志を大事にしまして、私も教育の現場で頑張って参りたいと存じます。
 育英会の今後の益々の御発展を心より祈念いたしております。


第四回留学生 星宮智光様
 いつもご指導ご支援下さいまして感謝申し上げます。星宮智光のことですが、昨秋より脳梗塞を発症し現在は、入院、リハビリの身となってしまいました。
 意思の疎通もままならず、気持を確かめることが十分に出来なくなりました。
 元気でおりましたら、きっと何かをお伝えできるはずでございますが、まことに残念でなりません。
 どうぞこれからの育英会の益々のご発展お祈り申し上げます。不躾な文面お許し下さいませ。(一子様代筆)


第五回留学生 引田弘道様
 留学僧育英会事業の再会、誠におめでとうございます。御招きを頂き、前住職のおまいりに参じようと思いましたが、あいにく、入試監督の為、それが出来なくなりました。
 思えば二十年前、私が留学僧として選ばれ、オックスフォード大学におりましたとき、前住職が奥さま共々、激励に来て頂いたことを今でも鮮明に憶えています。
 また、愛知学院大学に学んできた多くの留学僧も本育英僧に認めてもらい貴重な学資とさせて頂きましたこと、感謝の念にたえません。現在彼らは本国に帰って大学の研究員や教授として活躍しております。これもひとえに善光寺様のおかげと思います。
 現在、日本の経済はとても悪く、本育英会事業も大変だと存じます。現住職黒田博志方丈の御英断にただただ頭が下がる思いです。
 私も及ばずながら御協力させて頂きたいと考えております。育英会の益々の発展を祈念します。


第五回留学生 山本浄月様
 吉報を拝受いたしました。
 横浜善光寺留学僧育英会が理事長様の故黒田武志老師のこ遷化により一時休会しておられましたがこの度善光寺三世黒田博志方丈様ご英断により再開されるとの報に本当に心よりのお喜びを申し上げます。
 思いおこせば私共留学僧は育英会の前理事長黒田老師様のおかげで海外の仏教僧院や教育機関に於いて大変貴重な体験をさせて頂きました事、又その折のいくつかの海外各地への行脚も
含めて世界の三大宗教の一つと位置づけられている現代の仏教の姿をつぶさに垣間見る事が出来ました事、何よりの私の生涯の財産ともなるものと深く感謝の念を抱いています。この体験は私個人だけではなくもっと広く何らかの形で世のため人のため仏教徒としての使命につなげてゆくものにしなければならないと思っています。
 釈尊の教えに従いすべての原点に立ちかえってその本質をはっきりと見てゆく事、そしてあらゆるもののおかげ様ですべての命がある事、体験を通じて報恩の感謝と共にこの地球上に同時代に生き合せた仲間として共に命あるものとして生きてゆく事を大切にしたいと思います。
 今回の横浜善光寺様のご活動、ご活躍の益々の御発展を祈念し微力ながらその御志の一端にでも報いる事が出来ればと念願しています。
 私事ながら市井の片すみの荒れた草庵に住して以来、有形無形の寺の復習を志しながらほんの一歩ずつでも生きている限りは努力を続けてゆくつもりでいます。


第六回留学生 沖田玉映様
 この度は善光寺留学僧育英会が再開されうれしくお慶び申し上げます。
 本日の式典に出席叶ず、申し訳なくお許しくださいませ。
 黒田武志老師様1 どうして、兄の前角老師を追うが如くに、こんなに早く逝かれてしまったのでしょうか7
 御影のニッコリ微笑んだお写真を拝む時、「沖田どうした!」「沖田ガンバレ」といつも励ましてくださったお声が今も生前と変わりなく小尼には響き聞こえて参ります。
 アメリカ禅センターZCLAにお世話に成りました折、日本よりお盆の超忙しい中、「車の中でこの手紙を書いています」との黒田老師様からの手紙を拝受し自分のことより他の者を思い気遣うお優しい慈愛に満ちたお心を今でも忘れることが出来ません。
 人のお世話をすることがどれだけ大変なことか教えられました。
 どんなにか黒田武志老師様、倫子夫人にはお世話になって来たことか。その恩を微力ながら還元しなくてはと肝に銘じて修行して居ります。
 何を書いたら好いか言葉足らずで申し訳ございません。
 末筆ながら当育英会、並び横浜善光寺様の益々のこ盛隆を祈念申し上げます。


第十回留学生 碇雄神様
 この度はお世話様です。
 前理事長の余りに早すぎる御遷化は本当に残念ではありますが、育英会の再開は誠に有難い知らせでありました。
 今回の辞令交付式にはどうしても都合がつけられず失礼させて頂きますが、いつも現在の自分の核に留学僧としてテラワーダ修行させて頂いた体験があることを感じ、前理事長に感謝せずには居られません。
 一介の天台宗僧侶である私がその後ブッダガヤ日本寺駐在僧としてインドに渡った時も、この体験がいかほど役に立ったでしょうか。
 現在は日本のお寺を拠点にしつつ、アジア仏教との交流を基に「アジアのお坊さん」というホームページを開設させて頂いています。
 黒田老師、よくぞ私をタイに行かせて下さいました。本当に本当に心より感謝致しております。決して怠らず精進致したく思います。


第十一回留学生 宇野恭章様
 立春の候、皆々様におかれましてはご健勝のこととおよろこび申し上げます。過日は開山忌並育英生辞令交付式にお招きいただきましてありがとうございます。
 私は一九九三年から九八年までの五年間をインドのカルカッタで過ごしました。この五年間は、私の人生の中で最も有意義で貴重な時間でした。学問的なことはもちろんですが、人間が生きていくうえで何が本当に大切なのかを学ぶことが出来たような気がいたします。
 私は仏教学を専攻しておりましたが、現在も僧籍を持っておりません。前理事長黒田武志老師には帰国後の進路についてもご心配をお掛けいたしました。ご挨拶にお伺いするたびに「ちゃんと生きてますか?」と優しいお言葉をいただきました。人を思う心、思いやりにあふれたお顔が目に浮かびます。
 現在私は京都のザ・パレスサイドホテルというところで営業の仕事をさせていただいております。仏教とは直接関係のない仕事ではございますが、毎日が勉強であるということは、育英生であった時と変わりはありません。いつも感謝の気持ちと笑顔を心掛けております。国際都市京都には世界中の人々が訪れます。また世界には様々な宗教がございます。折に触れ、人を思う心、真理を説く仏の教えは普遍的なものであると実感しております。
 この度は仕事の都合上、出席することが出来ませんが、自らの持ち場に責任を持ってしっかりと努めることも前理事長老師のご恩に報いることと信じます。お許し下さいませ。別の機会に必ずご挨拶にお伺いいたします。今後ともご指導の程宜しくお願い申し上げます。
 再開されました横浜善光寺留学僧育英会のご発展を心よりお祈り申し上げます。


第十二回留学生 清水晶子様
 横浜善光寺留学僧育英会が黒田博志方丈様檀信徒そしてご支援の皆様のご尽力によって再開されることを伺いました。心よりお慶び申し上げます。
 私は善光寺様ご支援のもと第十二回派遣育英生としてイギリスのケンブリッジ・ロンドン両大学において勉強する機会を与えていただきました。長くかかりました二〇〇七年十二月に正式にロンドン大学にインドの首都デリーにあるジャイナ教徒のコミュニティー関する研究テーマでPhD論文を提出しました。
 黒田大圓先生が亡くなられて四年目と伺いました。一時帰国した際にごあいさつに伺ったときには亡くなられた阿部慈園先生とご一緒にカラオケに連れていっていただき励ましのお言葉をいただいたことを懐かしく思い出しております。
 イギリスという世界各国から研究者、学生達の集う研究施設の充実した地でインドの宗教を学びさまざまな人々と交流ができましたことはかけがえのない貴重な体験となりました。現在は北九州におりますが東方研究会の研究員として研究を続けております。
 善光寺様からいただいたご厚情を心にとめて自らの学んできたことを少しずつでも発信していければと思っております。今後ともどうぞ宜しくご教導下さいますようお願い申し上げます。
 善光寺様のますますのご発展を心よりお祈り致しております。


第十六回留学生 橋本英樹様
 まず、善光寺留学僧育英会の再開をお喜び申し上げます。このたびの開山忌・辞令交付式に随喜できないこと深くお詫び申し上げます。昨
年遷化した師父で先代の先住忌もあり、多忙につき申し訳なく思います。
 ここで、黒田武志老師との思い出を少しばかり話させていただきます。四、五年前かと思いますが、福島県の寺院でたまたまお会いし、宿も隣室で、その晩は二人だけでゆっくり食事をしながら、懇談させていただきました。親子ほどの年の差がありながら、ましてやこちらはたいへん面倒を見ていただいている身、それでも出来るだけ対等に接してくださる態度には感服いたしました。その時、老師から「いいか、一大事を成そうと思うなら焦るなよ。大概、失敗する人というのはどうしても拙速になりがちなんだよ。今、目の前のことを地道にこつこつ積み上げていってごらん。必ず波は起こるよ。チャンスは向こうから自然とやってくるからその時つかめよ。」また、こんなことも、「自分はちょつと事業欲が強すぎたんだよな。」とポツリとおっしゃったことも忘れられません。ご老師は本当に正直な寛大な方なんだなあと思いました。住職となった今、時々、老師のことを思い出し、その馨咳に接することが出来たことをありがたく思います。
 私は学業生活が長かったため、今でも他の奨学金の返済に苦労しておりますが、できるだけ、寄付行為はするようにしております。自分の生活は質素にしても恩返しすることが学業ができたものの勤めと肝に銘じております。妻は家庭的経済的理由により進学できなかったため、自分の小遣いをよく、あしなが育英会、ガザ地区、福祉団体等々に寄付しております。二人の共通の夢の一つに育英会を設立したいというものがあります。これも善光寺育英会がなかったら考えつかなかったことかもしれません。夢で終るかもしれませんが、あきらめずにやっていくつもりです。
 最後になりますが、今は亡き黒田老師のご冥福を心よりお祈りし、また貴育英会の益々の隆盛をご祈念申し上げ欄筆といたします。


第十六回留学生 福田智昭様
 成寿山 善光寺二世 中興 大圓武志大和尚が遷化されて、早や四年の星霜を経て、今更ながら不世出の仏教者であったという思いをつのらせております。
 不肖私が老師の膝元において得度、その後二年の大本山永平寺安居を経て、北米ロサンゼルス禅センター、次いでタイ国ワット・パクナムでの安居と貴重な宗教体験をさせて頂きましたことは、私にとっての本質的な宗教的回心の契機となったものであり、筆舌に尽し難い御法愛と感慨を新たに致しております。
 小生 現在、師父の補佐役として、山形市の一寺院にあって法務に従事しておりますが、大圓武志老師の「人の為に尽せ」の箴言を体して今後とも精進して参りたいと念じております。
 善光寺様において、本年度から中断していた留学僧育英会の事業を構想も新たに、新住職博志師の下に展開されるとの報に接し、大圓武志老師もさぞ御慶びのことと感慨無量なるものがあります。
 善光寺様の益々の御隆昌と留学僧育英会の発展を衷心より祈念申し上げる次第でございます。


第十三回留学生 山ロ菜生子様
 故阿部慈園先生のご紹介で、黒田武志先生にケンブリッジ大学留学中にお世話になりました、山口菜生子でございます。
 この度は、善光寺留学僧育英会の再開、おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。
 私は、大学卒業後は、翻訳の仕事などもしていたのですが、学者の夫の手伝いをしているうちに自分の勉強がおろそかになり、今日に至ります。善光寺様には業績を報告できず、申し訳ない気持ちです。また外国に暮らすことが多いこともあり、なかなかご挨拶にも伺えず、心苦しく思っております。
 黒田先生に暖かいご支援をいただいたことは、両親とともに度々思い出し、感謝しております。育英会と皆様のご多幸をお祈りいたします。


第二十回留学生 小野卓也様
 善光寺留学僧育英会の奨学金により、インドに二年間留学させて頂きました。留学中はパンデイットの先生に師事し、難解なサンスクリット文献を読みました。帰国後は、その成果をまとめて博士論文を準備しているところですが、古い千年以上前の思想が現在においてどのような意義をもつのか、さまざまな角度から検討しているところでございます。このような機会を与えて下さった黒田武志御老師と善光寺の皆様には、深い感謝をささげ、またその御遺志を尊び自分のできることを行って参りたいと存じます。


徳林秀陽様
 節分の時節春が近づいています
 留学生が多く貴奨学金のお世話になりました。
 さてホアントロンソー師、マニックバジュラチャールヤ師は、博士論文を提出し学位を得て帰国されました。大変お世話になりました。


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