成寿一覧表

成寿 第41号 インタビュー
黒田博志住職に聞く
「すべては檀信徒の皆さまのおかげ」

インタビュアー 形山俊彦氏(中外日報社

師匠の後ろ姿に学んできた
形山氏 ◆ 晋山式と先代の七回忌という大きな節目を越えられて、今どんな心境でしょうか。
黒田住職

 ホッとしたのと同時に、改めて住職としてしっかりお勤めしなければと責任を感じています。
 師匠が亡くなった直後は驚くばかりで、自分が住職の立場を継ぐことなど考えてもみませんでした。大事を怠っていたと思いました。どうしようかと思いながら、先代はどうしていただろうか、私の見てきた先代の姿や日々言われたことを思い出しながら、先代の心を心として務めることができればと思ってきました。
 子どもの時はうるさい親父だと思っていました。六人兄弟で、誰かがいたずらをすれば、連帯責任で外へ並ばされたり、本堂へ座らされたりしました。二十歳で僧侶になってからも、しょっちゅう叱られました。いま思えば有り難いことです。
 先代は神仏への畏敬の念、当たり前ですが、信仰心の強さは別格でした。少しでも見習おうと、私も毎朝の坐禅とお勤めは欠かしません。先代のことを思い出しながら、本堂や寺じゅうをお祀りしたり、読経をして過ごしています。どんな時でも一時間半のお勤めになります。
 はや七年経ちましたが、正直、やっていけるという気持より、やらないわけにゆかないという気持の方が大きいのが実感です。

形山氏 ◆育英会の再開を決断されたことにも、ご住職としての覚悟がうかがえますが。
黒田住職

 先代が亡くなる前に、二人で歩いている時、「博志、オレはなあ『仏道を以って世界に貢献出来る人、人材の育成が信念だ』だからどんな事情があっても育英会だけは続けてゆきたい」と言われたことが心に残っていました。しかし、私にできることではありません。派遣環境はきびしく、まず資金、そして派遣先環境整備、すべては皆さまの浄財によって賄われる育英会。先代に集められても、私には集まりません。すぐには難しく少し休会せざるを得ず、漸く一昨年から再開しました。
 すべて先代のおかげです。先代にうまく導かれているような気がいたします。先代は私に素晴らしい人たち、人材を残してくれました。先代のご縁で、役員に宗門のそうそうたる方々、また本寺さん、総代さんにも加わっていただいています。これひとえに先代のご人徳、私はその余徳をいただいています。先代がいかに皆様方のために尽されたのかがわかります。すべてそのおかげです。

「世界平和のために」を使命として
形山氏 ◆善光寺の使命、また今後の展望についてどうお考えですか。
黒田住職

 先代は夙に「世界平和のために尽す」という大義でした。いま私に出来ることは、檀信徒の皆様のために仏さまの教えをお伝えして、心の安らぎを得ていただくお役に立てればというその一念です。そのような思いで日々務めています。
 これからも、先代のやったことはそのまま総て、変えることなく勤めていきたいと思っています。

坐禅を通して人々に安心を与えたい
黒田住職

 現今、周囲は必ずしも、心身共に健全であるとは申せません。そういう方々に対し役立ちたいと思っています。そのためにはまず出来ることから寺のいろいろな行事を通して殊に、坐禅を以って、仏さまの教えをお伝えしたいと思います。
 皆様には、住職が代わっても変わることなく善光寺の行事にたくさん参加していただいています。とても有り難いことです。
 そのお一人お一人が「先代さんによくしていただきました」とおっしゃいます。私も、檀家さんに慕われる住職になりたいと思います。否、なります。
 まだ私は三十五歳。二十歳で僧侶になり、五年間は大本山での修行、海外、タイ、アメリカ、ドイツに修行に行かせていただきました。どこへ行くにもはじめは師父に連れられ、その後ろ姿を見て参りました。
 いつでも、私の前には師父がいて、一所懸命追っかけて来た思いが致します。すでに師父の中には早くから「私のいまの現実を慮って」順々に歩く道を教えてくれていたんだと思わずにおれません。
 今後も、師父の心を心として、仏道に邁進して参ります。

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