曹洞宗 :(『横浜善光寺在家聖典』-1996年成寿山善光寺発行-よりの抜粋)
【お経】
 修証義般若心経大悲心陀羅尼観音経寿量品偈遺教経・甘露門・舎利礼門参同契宝鏡三昧 

【観音経(妙法蓮華経観世音菩薩普門品)】【延命十句観音経】

  観音経
鳩摩羅什( くまらじゅう)三蔵(350〜409AD)訳の「法華経」二十八品の第二十五章.。
偈文は通称「世尊偈」「普門品偈」ともいわれる。


妙法蓮華経 観世音菩薩普門品 第二十五

爾時無尽意菩薩。即従座起。偏袒右肩。合掌向仏。而作是言。世尊。観世音菩薩以何因縁。名観世音。仏告無尽意菩薩。善男子。若有無量百千万億衆生。受諸苦悩。聞是観世音菩薩。○一心称名。観世音菩薩。即時観其音声。皆得解脱。若有持是観世音菩薩名者。設入大火。火不能焼。由是菩薩威神力故。若為大水所漂。称其名号。即得浅処。若有百千万億衆生。為求金。銀。瑠璃。硨磲。碼碯。珊瑚。琥珀。真珠等宝。入於大海。仮使黒風吹其船舫。飄堕羅刹鬼国。其中若有乃至一人称観世音菩薩名者。是諸人等。皆得解脱羅刹之難。以是因縁。名観世音。若復有人。臨当被害。称観世音菩薩名者。彼所執刀杖。尋段段壊。而得解脱。若三千大千国土満中。夜叉羅刹。欲来悩人。聞其称観世音菩薩名者。是諸悪鬼。尚不能以悪眼視之。況復加害。設復有人。若有罪。若無罪。杻械枷鎖。検繋其身。称観世音菩薩名者。皆悉断壊即得解脱。若三千大千国土満中怨賊。有一商主。将諸商人。齎持重宝。経過嶮路。其中一人。作是唱言。諸善男子。勿得恐怖。汝等応当一心称観世音菩薩名号。是菩薩。能以無畏。施於衆生。汝等若称名者。於此怨賊。当得解脱。衆商人聞。倶発声言。南無観世音菩薩。称其名故。即得解脱。無尽意。観世音菩薩摩訶薩。威神之力。巍巍如是。若有衆生。多於婬欲。常念恭敬観世音菩薩。便得離欲。若多瞋恚。常念恭敬観世音菩薩。便得離瞋。若多愚痴。常念恭敬観世音菩薩。便得離痴。無尽意。観世音菩薩。有如是等大威神力。多所饒益。是故衆生。常応心念。若有女人。設欲求男。礼拝供養観世音菩薩。便生福徳智慧之男。設欲求女。便生端正有相之女。宿植徳本。衆人愛敬。無尽意。観世音菩薩。有如是力。若有衆生。恭敬礼拝観世音菩薩。福不唐捐。是故衆生。皆応受持観世音菩薩名号。無尽意。若有人。受持六十二億恒河沙菩薩名字。復尽形供養飲食。衣服。臥具。医薬。於汝意云何。是善男子。善女人。功徳多不。無尽意言。甚多。世尊。仏言。若復有人。受持観世音菩薩名号。乃至一時礼拝供養。是二人福。正等無異。於百千万億劫。不可窮尽。無尽意。受持観世音菩薩名号。得如是無量無辺。福徳之利。○無尽意菩薩。白仏言。世尊。観世音菩薩。云何遊此娑婆世界。云何而為衆生説法。方便之力。其事云何。仏告無尽意菩薩。善男子。若有国土衆生。応以仏身得度者。○観世音菩薩。即現仏身。而為説法。応以辟支仏身得度者。即現辟支仏身。而為説法。応以声聞身得度者。即現声聞身。而為説法。応以梵王身得度者。即現梵王身。而為説法。応以帝釈身得度者。即現帝釈身。而為説法。応以自在天身得度者。即現自在天身。而為説法。応以大自在天身得度者。即現大自在天身。而為説法。応以天大将軍身得度者。即現天大将軍身。而為説法。応以毘沙門身得度者。即現毘沙門身。而為説法。応以小王身得度者。即現小王身。而為説法。応以長者身得度者。即現長者身。而為説法。応以居士身得度者。即現居士身。而為説法。応以宰官身得度者。即現宰官身。而為説法。応以婆羅門身得度者。即現婆羅門身。而為説法。応以比丘比丘尼優婆塞優婆夷身得度者。即現比丘比丘尼。優婆塞優婆夷身。而為説法。応以長者。居士。宰官。婆羅門。婦女身。得度者。即現婦女身。而為説法。応以童男。童女身得度者。即現童男。童女身。而為説法。応以天竜。夜叉。乾闥婆。阿修羅。迦楼羅。緊那羅。摩睺羅伽。人非人等身得度者即皆現之。而為説法。応以執金剛神。得度者。即現執金剛神。而為説法。無尽意。是観世音菩薩。成就如是功徳。以種種形。遊諸国土。度脱衆生是故汝等。応当一心供養観世音菩薩。是観世音菩薩摩訶薩。於怖畏急難之中。能施無畏。是故此娑婆世界。皆号之為施無畏者。無尽意菩薩。白仏言。世尊。我今当供養観世音菩薩。即解頸衆宝珠瓔珞。価直百千両金。而以与之。作是言。仁者。受此法施。珍宝瓔珞。時観世音菩薩。不肯受之。無尽意。復白観世音菩薩言。仁者。愍我等故。受此瓔珞。爾時仏告観世音菩薩。当愍此無尽意菩薩。及四衆。天竜。夜叉。乾闥婆。阿修羅。迦楼羅。緊那羅。摩睺羅伽。人非人等故。受是瓔珞。即時観世音菩薩。愍諸四衆。及於天。竜。人非人等。受其瓔珞。分作二分。一分奉釈迦牟尼仏。一分奉多宝仏塔。無尽意。観世音菩薩。有如是自在神力。遊於娑婆世界。爾時無尽意菩薩。以偈問曰。
○世尊妙相具。我今重問彼。仏子何因縁。名為観世音。具足妙相尊。偈答無尽意。汝聴観音行。善応諸方所。弘誓深如海。歴劫不思議。侍多千億仏。○発大清浄願。我為汝略説。聞名及見身。心念不空過。能滅諸有苦。仮使興害意。推落大火坑。念彼観音力。火坑変成池。或漂流巨海。龍魚諸鬼難。念彼観音力。波浪不能没。或在須弥峰。為人所推堕。念彼観音力。如日虚空住。或被悪人逐。堕落金剛山。念彼観音力。不能損一毛。或値怨賊繞。各執刀加害。念彼観音力。咸即起慈心。或遭王難苦。臨刑欲寿終。念彼観音力。刀尋段段壊。或囚禁枷鎖。手足被杻械。念彼観音力。釈然得解脱。呪詛諸毒薬。所欲害身者。念彼観音力。還著於本人。或遇悪羅刹。毒龍諸鬼等。念彼観音力。時悉不敢害。若悪獣囲繞。利牙爪可怖。念彼観音力。疾走無辺方。蚖蛇及蝮蠍。気毒煙火燃。念彼観音力。尋声自回去。雲雷鼓掣電。降雹澍大雨。念彼観音力。応時得消散。衆生被困厄。無量苦逼身。観音妙智力。能救世間苦。具足神通力。広修智方便。十方諸国土。無刹不現身。種種諸悪趣。地獄鬼畜生。生老病死苦。以漸悉令滅。真観清浄観。広大智慧観。悲観及慈観。常願常瞻仰。無垢清浄光。慧日破諸闇。能伏災風火。普明照世間。悲体戒雷震。慈意妙大雲。澍甘露法雨。滅除煩悩焔。諍訟経官処。怖畏軍陣中。念彼観音力。○衆怨悉退散。妙音観世音。梵音海潮音。勝彼世間音。是故須常念。念念勿生疑。観世音浄聖。於苦悩死厄。能為作依怙。具一切功徳。慈眼視衆生。福聚海無量。是故応頂礼。
○爾時持地菩薩。即従座起。前白仏言。世尊。若有衆生。聞是観世音菩薩品。自在之業。普門示現。神通力者。当知是人。功徳不少。仏説是普門品時。●衆中八万四千衆生。皆発無等等●阿耨多羅三藐三菩提心

観音経偈( かんのんぎょうげ )


世尊妙相具 我今重問彼 仏子何因縁 名為観世音( せーそんみょうそうぐー  がーこんじゅうもんぴー  ぶっしーがーいんねん  みょういーかんぜーおん )

具足妙相尊 偈答無尽意 汝聴観音行 善応諸方所( ぐーそくみょうそーそん  げーとうむーじんにー  にょーちょうかんのんぎょう  ぜんのうしょーほうしょー )

弘誓深如海 歴劫不思議 侍多千億仏発大清浄願( ぐうぜいじんにょーかい  りゃっこうふーしーぎー  じーたーせんのくぶつ  ほつだいしょうじょうがん )

我為汝略説 聞名及見身 心念不空過 能滅諸有苦( がーいーにょりゃくせつ  もんみょうぎゅけんしん  しんねんふーくーかー  のうめつしょーうーくー )

仮使興害意 推落大火坑 念彼観音力 火坑変成池( けーしーこーがいいー  すいらくだいかーきょー  ねんぴーかんのんりき  かーきょーへんじょーちー )

或漂流巨海 龍魚諸鬼難 念彼観音力 波浪不能没( わくひょーるーごーかい  りゅーぎょしょーきーなん  ねんぴーかんのんりき  はーろーふーのーもつ )

或在須弥峰 為人所推堕 念彼観音力 如日虚空住( わくざいしゃーみーぶー  いーにんしょーすいだー  ねんぴーかんのんりき  にょーにちこーくーじゅー )

或被悪人逐 堕落金剛山 念彼観音力 不能損一毛( わくひーあくにんちく  だーらくこんごーせん  ねんぴーかんのんりき  ふーのうそんいつもう )

或値怨賊繞 各執刀加害 念彼観音力 咸即起慈心( わくちーおんぞくにょー  かくしゅうとうかーがい  ねんぴーかんのんりき  げんそくきーじーしん )

或遭王難苦 臨刑欲寿終 念彼観音力 刀尋段段壊( わくそうおうなんくー  りんぎょうよくじゅーしゅう  ねんぴーかんのんりき  とうじんだんだんえー )

或囚禁枷鎖 手足被杻械 念彼観音力 釈然得解脱( わくしゅうきんかーさー  しゅーそくひーちゅうかい  ねんぴーかんのんりき  しゃくねんとくげーだつ )

呪詛諸毒薬 所欲害身者 念彼観音力 還著於本人( しゅーそーしょーどくやく  しょーよくがいしんしゃー  ねんぴーかんのんりき  げんじゃくおーほんにん )

或遇悪羅刹 毒龍諸鬼等 念彼観音力 時悉不敢害( わくぐーあくらーせつ  どくりゅうしょーきーとう  ねんぴーかんのんりき  じーしつぷーかんがい )

若悪獣囲繞 利牙爪可怖 念彼観音力 疾走無辺方( にゃくあくじゅういーにょう  りーげーそうかーふー  ねんぴーかんのんりき  しっそうむーへんぼう )

蚖蛇及蝮蠍 気毒煙火燃 念彼観音力 尋声自回去( がんじゃーぎゅうぶっかつ  けーどくえんかーねん  ねんぴーかんのんりき  じんしょーじーえーこー )
 
雲雷鼓掣電 降雹澍大雨 念彼観音力 応時得消散( うんらいくーせいでん  ごうばくじゅーだいうー  ねんぴーかんのんりき  おうじーとくしょうさん )
 
衆生被困厄 無量苦逼身 観音妙智力 能救世間苦( しゅーじょーひーこんやく  むーりょうくーひっしん  かんのんみょうちーりき  のうぐーせーけんくー )
 
具足神通力 広修智方便 十方諸国土 無刹不現身( ぐーそくじんつうりき  こうしゅうちーほうべん  じっぽうしょーこくどー  むーせつふーげんしん )
 
種種諸悪趣 地獄鬼畜生 生老病死苦 以漸悉令滅( しゅーじゅーしょーあくしゅー  じーごーきーちくしょー しょうろうびょうしーくー いーぜんしつりょうめつ )
 
真観清浄観 広大智慧観 悲観及慈観 常願常瞻仰( しんかんしょうじょうかん  こうだいちーえーかん  ひーかんぎゅうじーかん  じょうがんじょうせんごう )
 
無垢清浄光 慧日破諸闇 能伏災風火 普明照世間( むーくーしょうじょうこう  えーにちはーしょうあん  のうぶくさいふーかー  ふーみょうしょうせーけん )
 
悲体戒雷震 慈意妙大雲 澍甘露法雨 滅除煩悩焔( ひーたいかいらいしん  じーいーみょうだいうん  じゅーかんろーほううー  めつじょーぼんのうえん )
 
諍訟経官処 怖畏軍陣中 念彼観音力衆怨悉退散( じょうしょうきょうかんしょー  ふーいーぐんじんちゅう  ねんぴーかんのんりき  しゅうおんしつたいさん )
 
妙音観世音 梵音海潮音 勝彼世間音 是故須常念( みょうおんかんぜーおん  ぼんのんかいちょうおん  しょうひーせーけんのん  ぜーこーしゅーじょうねん )
 
念念勿生疑 観世音浄聖 於苦悩死厄 能為作依怙( ねんねんもっしょうぎー  かんぜーおんじょうしょう  おーくーのうしーやく  のういーさーえーこー )
 
具一切功徳 慈眼視衆生 福聚海無量 是故応頂礼( ぐーいっさいくーどく  じーげんじーしゅーじょう  ふくじゅーかいむーりょう  ぜーこーおうちょうらい )
 
爾時 持地菩薩 即従座起 前白仏言( にーじー  じーじーぼーさー  そくじゅうざーきー  ぜんびゃくぶつごん )
 
世尊 若有衆生 聞是観世音菩薩品 自在之業( せーそん  にゃくうーしゅーじょう  もんぜーかんぜーおんぼーさーほん  じーざいしーごう )
 
普門示現 神通力者 当知是人 功徳不少( ふーもんじーげん  じんつうりきしゃー  とうちーぜーにん  くーどくふーしょう )
 
仏説是普門品時衆中八万四千衆生( ぶっせつぜーふーもんほんじー  しゅーちゅうはちまんしーせんしゅーじょう )
 
皆発無等等阿耨多羅三藐三菩提心( かいほつむーとうどう  あーのくたーらーさんみゃくさんぼーだいしん )
 

対和訳

世尊妙相具 我今重問彼 
仏子何因縁 名為観世音 
世尊(釈尊)は、妙なる相を具(そな)えたもう。我今重ねて問う、
「彼の仏子、何の因縁を以ってか名を観世音と為すや」と。
具足妙相尊 偈答無尽意 
汝聴観音行 善応諸方所
妙相を具足せし尊、偈をもって無尽意(むじんに菩薩)に答う。
「汝、観音菩薩の行の善く諸の方所に応ずるを聴け。
弘誓深如海 歴劫不思議 
侍多千億仏 発大清浄願 
弘誓の深きこと海の如く、劫を歴ること不思議なり。
多きこと千億の仏に侍りて大清浄の願を発せり。
我為汝略説 聞名及見身 
心念不空過 能滅諸有苦
我、汝が為に略説せん。名を聞き、及び身を見、
心に念じて空しく過ごさざれば、能く諸有苦を滅せん。
仮使興害意 推落大火坑 
念彼観音力 火坑変成池 
仮使(たとえ)、害意を興せしが、大火坑に推し落さんも、
彼の観音の力を念ぜば、火坑は変じて池と成らん。
或漂流巨海 龍魚諸鬼難 
念彼観音力 波浪不能没
或は、巨海に漂流し、龍・魚・諸の鬼難あらんに、
彼の観音の力を念ぜば、波浪も没する能わじ。
或在須弥峰 為人所推堕 
念彼観音力 如日虚空住 
或は、須弥峯に在って、人に推し堕されんに、
彼の観音の力を念ぜば、日の如く、虚空に住せん。
或被悪人逐 堕落金剛山 
念彼観音力 不能損一毛
或は、悪人に逐われて、金剛山より堕落せんに、
彼の観音の力を念ぜば、一毛をも損ずること能わじ。
或値怨賊繞 各執刀加害 
念彼観音力 咸即起慈心 
或は、怨賊の繞(かこ)みて、各(おのおの)刀を執りて害を加うるに値わんに、
彼の観音の力を念ぜば、咸
(ことごと)く即(ただ)ちに慈心を起さん。
或遭王難苦 臨刑欲寿終 
念彼観音力 刀尋段段壊
或いは王難の苦に遭いて、刑せらるるに臨んで寿(いのち)終らんと欲んに、
彼の観音の力を念ぜば、刀は尋(にわか)に段段に壊れなん。
或囚禁枷鎖 手足被杻械 
念彼観音力 釈然得解脱
或は、囚えられ枷鎖(くびかせくさり)に禁せられて、手足に杻械(てかせあしかせ)を被らんに、
彼の観音の力を念ぜば、釈然として解脱することを得ん。
呪詛諸毒薬 所欲害身者 
念彼観音力 還著於本人 
呪詛や諸の毒薬に、身を害せんと欲(せ)られん者、
彼の観音の力を念ぜば、還って、本の人に著きなん
或遇悪羅刹 毒龍諸鬼等 
念彼観音力 時悉不敢害
或は、悪羅刹(らせつ)、毒龍、諸の鬼等に遇わんに、
彼の観音の力を念ぜば、時に悉く敢えて害せざらん。
若悪獣囲繞 利牙爪可怖 
念彼観音力 疾走無辺方 
若しは、悪獣に囲繞(いにょう)せられて、利(と)き牙爪(きばつめ)の怖るべきに、
彼の観音の力を念ぜば、疾く無辺の方に走りなん。
蚖蛇及蝮蠍 気毒煙火燃 
念彼観音力 尋声自回去
(とかげ)蛇及び蝮(まむし)(さそり)、気毒の煙火の燃ゆるごとくあらんに、
彼の観音の力を念ぜば、声に尋(つ)いで自ら回(かえ)り去らん。
雲雷鼓掣電 降雹澍大雨 
念彼観音力 応時得消散
雲りて雷(いかづち)(な)り、掣(いなずま)(ひらめ)き、雹(あられ)降り、大雨澍(そそ)がんに、
彼の観音の力を念ぜば、時に応じて消散することを得ん。
衆生被困厄 無量苦逼身 
観音妙智力 能救世間苦
衆生、困厄を被むりて、無量の苦、身に逼(せ)まらんに、
観音の妙智力、能く世間の苦を救う。
具足神通力 広修智方便 
十方諸国土 無刹不現身
神通力を具足し、広く智の方便を修して、
十方の諸国土に、身を現わさざる刹(ところ)無し。
種種諸悪趣 地獄鬼畜生 
生老病死苦 以漸悉令滅
種種の諸悪趣(あくしゅ)、地獄 鬼 畜生、
生老病死の苦、以って漸(ようや)く悉く滅せしむ。
真観清浄観 広大智慧観 
悲観及慈観 常願常瞻仰
(まこと)の観、清浄の観、広大なる智慧の観あり。
(あわれみ)の観及び慈(いつくしみ)の観なり。常に願い常に瞻仰すべし。
無垢清浄光 慧日破諸闇 
能伏災風火 普明照世間
無垢にして清浄なる光、慧日、諸の闇を破り、
能く災いの風火を伏し、普く明らかに世間を照す。
悲体戒雷震 慈意妙大雲 
澍甘露法雨 滅除煩悩焔
(あわれみ)の体(すがた)は戒として雷のごとく震い、慈(いつくしみ)の意(こころ)は妙にして大雲のごとく、
甘露の法雨を澍ぎ、煩悩の焔を滅除す。
諍訟経官処 怖畏軍陣中 
念彼観音力 衆怨悉退散
諍訟して官処を経、軍陣の中に怖畏せんに、
彼の観音の力を念ぜば、衆の怨は悉く退散せん。
妙音観世音 梵音海潮音 
勝彼世間音 是故須常念
妙なる音(こえ)、世を観ずる音、梵なる音、海潮の音、
彼の世間に勝れたる音なり。是の故に須らく常に念ずべし。
念念勿生疑 観世音浄聖 
於苦悩死厄 能為作依怙
念念に疑いを生ずること勿かれ。観世音なる浄聖は、
苦悩と死厄に於いて、能く為に依怙(よりどころ)と作る。
具一切功徳 慈眼視衆生 
福聚海無量 是故応頂礼
一切の功徳を具して、慈眼を以って衆生を視、
福の聚る海は無量、是の故に応さに頂礼すべし。」と
爾時 持地菩薩 
即従座起 前白仏言
爾の時、持地菩薩、
即ち座より起ち、前
(すす)みて仏に曰して言わく、
世尊 若有衆生
聞是観世音菩薩品 
自在之業 普門示現 神通力者 
当知是人 功徳不少
「世尊、若し衆生有って、
是の観世音菩薩品の自在の業、
普門示現の神通力を聞かば、
当に知るべし、是の人の功徳少からざることを。」
仏説是普門品時 衆中
八万四千衆生 皆発
無等等 阿耨多羅三藐三菩提心
仏、是の普門品を説きたもう時、
衆中の八万四千の衆生、
皆 無等等の阿耨多羅三藐三菩提の心を発
(おこ)せり。

  十句観音経
作者の正確なところは不明。「高王白衣観音経」がその出所であるという説がある。
日本では、江戸時代 霊空光謙(天台宗)・白隠慧鶴(臨済宗)などが広めたといわれる。
「延命十句観音経」とも。
十句観音経( えんめいじゅっくかんのんぎょう )


観世音 南無仏( かんぜーおん  なーむーぶつ )

与仏有因 与仏有縁( よーぶつうーいん  よーぶつうーえん )

仏法僧縁 常楽我浄( ぶっぽうそうえん  じょうらくがじょう )

朝念観世音 暮念観世音( ちょうねんかんぜーおん  ぼーねんかんぜーおん )

念々従心起 念々不離心( ねんねんじゅうしんきー  ねんねんふりしん )

 

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